東京におけるコロナウイルス抗体検査の結果、陽性率が0.6%とのことで、東京の人口を1,400万人とすると、すでに感染した人は84,000人との計算になります。
(5/17現在の感染者数の公表値は約5,000人です)
AMED研究班が日本赤十字社の協力を得て実施。
2020年4月の献血者(n=500×2)及び2019年1-3月の保存検体(n=500)
84,000人という数字を多いと見るか、少ないと見るか、今後どうなるのか?
以下に整理してみます。
Photo by National Cancer Institute on Unsplash
各地の抗体検査結果
上記の通り、東京は陽性率0.6%、同時に実施した際の東北6県は0.4%です。
ちなみに、4/27に発表されたニューヨーク州(約人口1,950万人)の抗体検査結果では14.9%、ニューヨーク市(人口約840万人)は24.7%です。
つまり4/27時点で、ニューヨーク州では約290万人がすでにコロナウイルスに感染していると考えられ、ニューヨーク市においては、約200万人、人口の4人に1人がすでにコロナウイルスに感染したと考えられます。
東京の数字に戻ります。
84,000人という数字は、公表されている感染者数の5,000人に比べると約17倍とかなり大きい数字です。しかし、ニューヨーク州の290万人 *公表値 約35万人と比較すると、数十倍の開きがあります。
「日本国内のPCR検査数が少ない」と言われていたことを考えると、84,000人という数字は大きくないとも言えます。また「国内にはPCR検査を受けていない人、無症状感染者が多数存在しており、東京における陽性率は高いはず」と想像していた方も多いと思います。
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東京、日本で一体何が起きているのか?
想像よりも東京の陽性率が低い、感染者数が少ない理由は何なのでしょう?
考えられる理由を挙げてみます。
1. 日本における対策が功を奏している
日本政府は、当初患者クラスタ対策を実施し、感染者の拡大前に緊急事態宣言を発動し、人々の外出を通じた接触を大幅に減少させました。
春節時期における、一定の中国人の来日数はあったものの、政府の対策により感染者の拡大は下記のようなクラスタ内に留めることが出来たというシナリオです。
・入国者、海外渡航者との濃厚接触者
・スポーツクラブ、ライブハウスのような人が集まる場所
・介護施設、障害者施設
・病院内、医療従事者
満員電車、会社、学校など、上記に加え懸念されていた環境における感染拡大は報道されていません。
2. 日本人の行動様式によるもの
日本人は、家には靴を脱いで上がり、街も家も清潔で、元々マスクをする人が多く、よく手を洗い、ハグや握手をする文化が無い点等により、飛沫感染、接触感染から回避していると、以前から言われていました。
3. 日本人はコロナウイルスに感染しづらい
こちらは、人種、民族やBCG接種の有無など、まだ科学的根拠が無い仮説がいくつか挙がっています。
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もしかしたら、上記のいくつかの要因、全てを要因として、日本におけるコロナウイルス感染者数は抑制されているのかもしれません。
(これまでの経緯を推測)
- 入国者、海外渡航者がコロナウイルスを国内に持ち込んだ
- 一部の濃厚接触者には移ったが、多くの方には移らなかった
- 日本の場合、一定の活動自粛の成果で、2のように低い"再生産数*"で感染が広がる
*1人の感染者が何人に感染を広げるかを示す
やはり気になるのは感染の広がり方なのですが、自粛が緩和されても再生産数の増加がなければ、「日本人は感染しづらい」ということがあるのかもしれません。
今後の国内状況推測
それでは今後、日本ではどのような状況になっていくのでしょうか。
公表されている感染者数、抗体検査の陽性率をみると、日本国内においては、1%未満と僅かの人しかコロナウイルスに感染していないと思われます。
この状況をどう見るか?というのがポイントとなります。
1. ネガティブシナリオ
「これからじわじわと(全)国民が感染する」
これまでは、いわゆる"患者クラスタ"でしか感染は広がっておらず、自粛緩和に応じて再度"患者クラスタ"が発生する。
現在、ドイツ等で発生している状況です。
2. ポジティブシナリオ
「感染しやすい人の間でのみ感染が広がる」
(感染する方にとってはポジティブでは無く、感染者数という観点での見解です)
糖尿病等の持病を持っている方、高齢者、免疫力の低い状態の方、感染者と濃厚接触しやすい環境にある医療従事者等、一部の環境にのみ感染者が発生する。
例年のインフルエンザシーズンのような対策、マスク・手洗い・うがい等の徹底や、外出先等、日常生活時の注意を行い、高い免疫力を保っている方々は基本的には感染しない。
状況としては、感染者の増加は緩やかに継続し、次のシーズン(冬)を迎えるイメージです。
その他
また、梅雨の多湿、夏の高温多湿が、コロナウイルスの威力を弱めるという研究結果もあるようです。夏場にウイルスが消滅することは無さそうですが、夏に威力を高めることは無いと考えてよいでしょう。
最後に話がそれますが、少し気になるのは、夏場の密閉された環境でのクーラー使用です。密閉された環境、空気の乾燥、ウイルスを浮遊させる送風は大きな懸念に感じます。
国内でコロナウイルスが流行し出したのは春で、電車・バスは窓を開けて走ることで換気ができましたが、蒸し暑い夏にはどのような運用を行うのでしょうか。
オフィス、学校、エレベーター等も同様です。そろそろ何らかの対策、方針が決まっていてほしい時期です。
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