コロナウイルスの感染経路は主に、「飛沫感染」、「接触感染」と言われていますが、厚労省は、集団感染の共通点の一つに「換気が悪い」ことを挙げています。
新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために
集団感染の共通点は、特に、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」です。換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けてください。
「飛沫感染」と「換気」の関係性が理解できずにモヤモヤしていたのですが、下記の情報発信がありました。この情報を起点に、換気の必要性や飛沫感染の仕組みについて整理してみます。
Photo by Şahin Yeşilyaprak on Unsplash
空気感染しないのになぜ換気が必要か?
上記の記事から引用すると、こうです。
集団感染が起こっているライブハウスやスポーツジムなどの換気の悪い閉鎖空間では、飛沫が短時間、空気中に漂うことがある。「飛沫がふわふわと舞っている状況では、マスクと顔の隙間からウイルスが侵入するなど、せきやくしゃみで飛んだしぶきよりも多くの人が感染しやすい」という。
飛沫って、ふわふわ舞うんですね...
飛沫は空気中を舞うのか?漂うのか?
ここではまず、「飛沫」と「飛沫核」の違いを知る必要があります。
飛沫とは? (droplet)
- 咳、くしゃみ、会話によって飛散する唾液
- 直径 5μm以上*(マイクロメートル)
- 移動距離 1〜2m以下
- 飛沫感染する主な病原体: インフルエンザ、ジフテリア、風疹
*スギ花粉は、20μmだそうです
花粉はPM2.5より大きい?小さい?|ミクロ探偵団|ミヤマ株式会社 環境分析測定&リサーチ
飛沫核とは? (droplet nuclei)
- 飛沫が乾燥して小さくなったり、もともと小さい粒子
- 直径 5μm以下
- 長く浮遊(2m以上、場合のよっては10m以上)
- 飛沫核感染(空気感染)する主な病原体: はしか、水痘、結核
参考情報
https://square.umin.ac.jp/fittest/pdf/ft_text.pdf
16. 飛沫感染と空気感染の違いを教えてください。 | azfit
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/hp-lab/rinkenhome/subfile/DCMI/kannsennkeiro_pdf.pdf
http://www.kankyokansen.org/other/edu_pdf/3-3_03.pdf
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一般的な情報から得られる結論は、「飛沫は1〜2m飛ぶが、空気中を舞わない、漂わない」、「飛沫核は空気中を舞う、漂う」。
お気づきでしょうか...?
飛沫は5μm以上、飛沫核は5μm以下なので、5μmのヤツは、「飛沫と飛沫核のハーフ」ですね。
Photo by Shagal Sajid on Unsplash
コロナウイルスが空気感染しない理由
行ったり来たりしてしまうのですが、コロナウイルスは空気感染しないと言われています。仮に空気感染していたら、現状よりも爆発的に感染が拡大していると考えられます。
※ここからは学術的でなく、ただの論理になってきますのでご了承ください
空気感染しないということは、まず、飛沫核には感染させる力が無いと考えられます。
とりあえず飛沫が乾燥して、飛沫核になると、感染力が無くなるか、極めて弱くなるとの仮説を置きます。
エアロゾル感染
ここで、登場させたくは無かった「エアロゾル感染」に触れます。
日本エアロゾル学会(そんなのあるんかい)は、「エアロゾル」を以下のように定義しているそうです。
「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子をエアロゾル(aerosol)といいます。エアロゾルは,その生成過程の違いから粉じん(dust)とかフューム(fume)、ミスト(mist)、ばいじん(smokedust)などと呼ばれ、また気象学的には、視程や色の違いなどから、霧(fog )、もや(mist )、煙霧(haze )、スモッグ(smog )などと呼ばれることもあります。エアロゾル粒子の性状は、粒径や化学組成、形状、光学的・電気的特性など多くの因子によって表され、きわめて複雑です。(中略)例えば粒径についていえば、分子やイオンとほぼ等しい0.001μm=1nm程度から花粉のような100μm程度まで約5桁にわたる広い範囲が対象となり(後略)」
0.001μm〜100μmまでと、幅広い範囲の定義です。
うーん。飛沫も飛沫核も範囲内にいます。
エアロゾル感染、エアロゾルの情報はあまり参考になりません。
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飛沫による空気感染?
まず、「飛沫核」の定義を、大きさでなく、その成り立ちの観点で考えて、飛沫が乾燥したものと定義します。
飛沫が乾燥した「飛沫核」は、感染力を持っていないと考えます。
今度は飛沫核を大きさの観点から確認すると、「飛沫核」は(小さいので)空気中を舞います(漂います)。
ここで、空気中を舞うか、舞わないかは、その大きさ(重さ)によって決まると考えます。
飛沫の定義を確認すると、「飛沫」は5μm以上なのですが、仮に乾燥しきっていない「小さな(軽い)飛沫」があるとしたら、空気中を舞う(漂う)可能性があると考えます。先ほど挙げた、"飛沫と飛沫核のハーフ"は舞うことができそうです。
そう考えると、空気中を舞っている(漂っている)小さな飛沫、または"ハーフ"が存在している可能性があり、それはやはり飛沫なので、一定の感染力を持っている可能性があります。
即ち、小さな飛沫は、いわゆる空気感染のような状況を引き起こすことが推測されます。但し、空気感染が(多く)発生していない現状を鑑みると、小さな飛沫の感染力は弱いか、小さな飛沫(舞うことができる飛沫)自体が多くなさそうです。
ちなみに、インフルエンザにおける空気感染のリスクを説明する記事を発見しましたので参考までに紹介します。
呼吸(呼気)から感染するという、ちょっと怖い内容です。
換気が悪い環境でコロナウイルスに感染する理由
元の話に戻ります。
先ほどの結論から、小さな飛沫は、空気中を舞う(漂う)ことが想定されます。その場合、換気の悪い環境においては、空気中を漂っている飛沫が空間に留まることになるので、感染のリスクが高まります。
よって、コロナウイルスの感染を防ぐためには、部屋の換気が必要であるという結論に至ります。
今ようやく、厚労省の発信に意味があることに自分なりに納得しました。
「ちゃんと理由を説明してよ!」
最後に、
いわゆる空気感染と思われる状況は発生していないので、「空気中にコロナウィルスが舞っている」と恐れることは極めて過剰な反応で、仮に舞っていたとしても、その感染力は弱いと推察します。
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